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【セブンイレブンがバイト病欠による罰金措置 労基法から見た今回の事件】

31日、東京都武蔵野市にあるセブンイレブンの加盟店が、風邪で2日間休んだアルバイトの女子高生(16)に対し、自分の代わりを探さなかったことを理由として、実際に働いた5日間のアルバイト代23,375円から9,350円をペナルティーとして差し引いていたことが分かりました。

保護者の相談で発覚した今回の事件。
セブンイレブン本部は加盟店に対し、『ペナルティーの理由としては不適切であり、減給の額も労働基準法に違反する』として、全額の返還と女子高生への謝罪を指示したとのことです。

自分の代わりの人を探すなんてことは、バイトをやっていればよくある話ではありますが、風邪で休んでいるのに代わりの人を探せなんて酷な話です。
しかも、ペナルティーで減額とか何考えてんだと怒り心頭な話ではあります。

まぁ感情的に話を進めても何も生産性がないので、せっかくですから今回の事件何が問題だったのか、法律の観点から見てみましょう。

労働基準法の観点から見た、3つの法令違反

上の話にも出ましたが、セブンイレブン本部が『ペナルティーの理由としては不適切であり、減給の額も労働基準法に違反する』と話しています。
つまりこれが今回問題となった部分です。

具体的には、『労働基準法違反』となります。

 

~労働基準法~

労働条件(労働時間、休日、賃金など)の最低基準を定めた法律です。この法律は、正社員はもちろん、契約社員、パート、アルバイト、派遣労働者など、すべての労働者に適用されます。なお、就業規則や雇用契約の労働条件が最低基準に達していない場合、その条件は無効となり、労働基準法の条件に引き上げられます。

参考:https://www.hiraku-navi20.jp/layer3/a11a_52_1.html

 

では今回の場合、どの条文が該当するのでしょうか。

16条『賠償予定の禁止』

これは“使用者と労働者が労働契約を結ぶ際に、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしてはいけません”というものです。

 

つまり契約をする際に、”罰金”を事前に取り決めることを禁ずるというものです。
間違ってはいけないのは、決して労働者の契約不履行の際に賠償請求してはいけないという物ではありません。
「額を」「事前」に決めてはならないということです。

このような法律を定めることで、労働者の退職の自由を守っています。

 

今回の場合、もし契約の際に「事前」に罰金の「」を決めていた場合は法律違反となります。

24条『賃金の支払い』

これは“賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない”というものです。

つまり罰金と称して給与から天引きされるのは法律違反となります。

 

今回は、給与明細から手書きでの天引きだったので、まず法律違反になります。

91条『制裁規定の制限』

これは“就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、ある一定の額を超えてはならない”というものです。

 

この一定の額というのが、

  • 一回の額が平均賃金の一日分の半額を超える
  • 総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超える

となります。

 

仮に今回の罰則が正当なものだったとしても、月の給与額23,375円の10分の1、2,338円を超えて罰則を課してはならないというわけです。

以上が今回の事件に該当する労働基準法と考えられます。

 

ちなみに、

16条が6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
24条、91条が30万円以下の罰金

が課せられます。

謝罪でごまかそうとしてますが、普通にアウトです。

 

バイトだからって立派な労働者。不当な契約者に対しては周りを味方につけよう

とはいえ、女子高生のバイトが労働基準法だー、罰則だー言われてもなかなか理解するのは難しいでしょうし、今回のように店長や雇い主から強く言われたら泣き寝入りするのが関の山です。

 

ですが、バイトも立派な労働者。

あれ?おかしいなと思ったら、親や周りの友人にまず相談しましょう。
そして、周りを味方につけて、不当な契約者にはしっかりと向き合ってほしいものです。

 

ではまた。