タクシーの初乗り料金が下がりました。

これまでの2km730円から、1.052km410円に変わりました。
対象地域は、東京23区及び三鷹市、武蔵野市です。

目的は主に、訪日外国人やお年寄りの需要喚起です。
今までよりもより手軽にタクシーを利用してもらうため今回の運びとなりました。

それに伴い、初乗り以降の距離別料金も変更となりました。
今までは280mごとに90円でしたが、これからは237mごとに90円となります。
その場合、6.5kmを超えたところから、従来の料金より高くなります。
利用者はその辺は注意して利用したいところです。

時世を鑑みた料金改定。高齢化社会や五輪招致を見据えた施策

日本は世界中を見渡しても類をみない高齢化社会です。
高齢者とは満65歳以上の事を指しますが、日本はこの高齢者の割合、いわゆる高齢率が26%です。(平成27年度)
これは世界No1の数値
平均寿命の長さも相まって、お年寄りが社会の多くを占めています。

日本の都心はバスや電車などがそこらじゅうを網羅しており、どこかへ行くにしても交通手段に困ることはありません。
しかし、お年寄りにとっては自宅からバス、駅から目的地までいくのに一苦労するのが現状。
そういった意味では、短い距離でも気軽に利用できるなった今回の料金改定は、時世にあったものといえなくもないです。

また、海外では移動手段はバスや電車よりもタクシーを使った方が効率がいいという事が多々あります。
これは、日本よりもインフラが整備されていない途上国に多く見られる傾向ですが、決められたルートを走るバス、電車よりも、利用者のニーズに合わせたタクシーの方が利用しやすく、また金額も安めということが多いです。
私も以前渡航した先のミャンマーでは、バス、電車よりもよっぽどタクシーの方が使いやすかったです。

2020年の東京五輪を見据えて、訪日観光者により身近にタクシーを感じてもらう措置でしょうか。
国全体が、グローバル化を目指した上で施策を講じているのでしょう。

単価の低下はサービスの低下?乗車お断り増加の懸念

ただ、タクシー会社からしてみると、やはり単価の低下というのが一番の懸念点です。
利用回数が仮に増えたとしても、その1回あたりのコストは増えていきます。
乗り降りするだけで、料金の支払いには時間を取られ、仕事の効率は悪くなる一方です。

私もタクシーを利用する時、1駅分しか利用しないときは、運転手さんに『短い距離で申し訳ない』とつい声を掛けてしまいます。
運転手側からみても、せっかく乗せた客の単価が安い、いわゆる”ちょい乗り”のお客さんだとあまり面白くないでしょう。
もしかしたら“ちょい乗り”のお客さんを断る運転手もこれから増えてくるかもしれません。
だとしたら、せっかく利用しようとした、お年寄りや外国人観光客が利用しなくなってしまいます。

しかし、時代が変われば需要も変わる。
世間が求めることが流動的に変わるのは世の常です。
誰がどうあがこうと、高齢化の流れは止まりませんし、これからどんどん訪日観光客は増えていきます。
最初は面白くないかもしれませんが、そういった時代に変わったんだと、タクシーの運転手さんにはいやな顔せずに気持ちよく対応して貰いたいものです。

ではまた。