先日、コンビニにふと寄った際、おにぎりコーナーで、

『2月12日は初午の日なので、いなり寿司を食べよう』

というキャンペーンをやっていました。

初午(はつうま)

土用丑の日なら聞いたことがありますが、初午って初耳です。
恐らく、十二支に関するのではないかと思うのですが・・・。

今回は、『初午』についてです。

日本の十二支、十干、干支について

まず、午に関する言葉について調べてみました。

十二支について

十二支とは、

子(し)、丑(ちゅう)、寅(いん)、卯(ぼう)、辰(しん)、巳(し)、午(ご)、未(び)、申(しん)、酉(ゆう)、戌(じゅつ)、亥(がい)

の十二字を用いて、時刻や方角を表す記号です。

日本では、

鼠(ね)、牛(うし)、虎(とら)、兎(う)、竜(たつ)、蛇(み)、馬(うま)、羊(ひつじ)、猿(さる)、鳥(とり)、犬(いぬ)、猪(い)

と、12の動物をあてはめています。

海外でも十二支という言葉はあるのですが、あてはめる動物が異なることがあります。
猪が豚だったり、虎が猫だったりですね。

 

そして、十二支は時刻方角を表しています。

 

子(し・ね)は午前0時ごろと北を表し、そこから時刻は2時間ずつ、方角は時計回りに進みます。
そうなると、午(ご・うま)がちょうど半分で、正午ごろと南を表すわけですね。

今でも『正午』『午前』『子午線』なんてのが名残として残っています。

 

 

十干について

十二支以外にも、『十干(じっかん)』と呼ばれる日にちを表す言葉があります。

 

『十干』とは、

甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)

の10の要素の順列をいいます。
簡単に言えば数字のようなものです。

 

また、十干は10日間を一区切りとし、それぞれに日に名前を付けています。
1ヶ月を10日区切りの『上旬』『中旬』『下旬』と呼ぶのも十干が由来です。

そして日本ではこの十干を2つに区切り、『五行』木(もく、き)・火(か、ひ)・土(と、つち)・金(こん、か)・水(すい、みず)をそれぞれあてはめ、さらに区切られた2つに陰陽を割り当てた独特な読み方をしています。

 

『陽』を兄(え)、陰を弟(と)とし、十干を

甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)

と呼ぶようにしました。

この十干にはそれぞれに意味があり、風水などで利用されることもあるようです。

 

干支とは

 

『干支(えと)』とは、『十干』『十二支』を合わせたものを『干支』と呼びます。

その年には、それぞれ『十干』『十二支』が割り振られています。
その組み合わせは全部で60通りあり、60年でぐるっと1周します。
還暦を60年を定めているのは、『干支』が1周したからなんですね。

で、実際の読み方についてですが、2017年の十二支は『酉(とり)』ですが、十干は『丁(ひのと)』です。
つまり、今年の『干支』は『丁酉(ひのととり)』というわけです。

『丁酉(ひのととり)』と言われると少し違和感を感じますが、この十干と十二支を合わせた干支は歴史上でも度々出てきます。
例えば、『戊辰戦争(つちのえたつ)』『壬申の乱(みずのえさる)』、後は『甲子園球場』も甲子(きのえね)に開場されたためそう呼ばれます。

ちなみにこちらが十干の早見表です。
これであなたが生まれた干支が分かると思います。

※上の段が西暦の一の位、下の段が十干

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

ただ、干支を表すときは十干を略すことが多いので、今年の干支は『酉年』と言っても特段間違ってはいないみたいです。

月や日を表す干支

干支は年以外にも、にも当てはめられています。

月に関しても年同様、『十干』『十二支』を組み合わせて表現します。

十二支は、1月が寅(とら)でそこから順番にあてはめていき、12月は丑(うし)となります。
十干は、西暦の一の位が0の場合は庚(かのえ)でそこから順番にあてはめていき、9の時は己(つちのと)となります。

先ほどの年の干支同様、60ヶ月(5年)で1周します。

日に関しては、月の様に十二支を固定せず、年の干支同様順番にあてはめていき60日で1周します。
ただ、年や月と違い綺麗に60で割れないので、ひたすら日にちを遡るしかありません。
(一応計算式はありますが・・・)

 

これを踏まえますと、本日2017年2月10日の干支は、

年:『丁酉 (ひのととり)』 月:『癸卯(みずのとう)』 日:『戊辰(つちのえたつ)』

となるわけです。

 

 

では、本題の初午の日とは何なのか。

勘の良い方はお気づきかもしれませんが、そう初午とは読んで字のごとく『初めて午の日が来た日』というわけです。

 

初午の日になぜいなり寿司を?

初午とは、京都の『伏見稲荷大社』に祀られている、農業の神様『宇迦之御魂(うかのみたま)』が伊奈利山(いなりやま)に降りたった日と言われています。
その日は『初午祭(はつうまさい)』が行われ、その後も伏見稲荷大社で『初午詣(はつつまもうで)』をするようになり、農業の五穀豊穣を願うお祭りになりました。

伏見稲荷大社は、稲荷神社の総本山で、稲荷神社は『稲荷神(いなりしん)』を祀る神社です。
稲荷神といえば、稲荷大明神(いなりだいみょうじん)や、お稲荷さん(おいなりさん)とも呼ばれています。

この稲荷神の使いと言われる『狐』の好物が『油揚げ』と考えられ、その油揚げを使った料理を『稲荷』と呼び、その油揚げの中に酢飯を入れた『いなり寿司』を初午の日に食べるようになったというわけです。

ちなみになぜ『初午』が1月ではなく2月なのかというと、農作業初めが旧暦2月におこなわれ、一番運気が良いといわているのが2月だからだそうです。
だから、1月ではなく2月の初めて来た午の日を『初午』と呼ぶんですね。

また、初 + 『十二支』で呼ばれるものはそれ以外にもたくさんあり、『未(ひつじ)』を除くすべての十二支に初の付く日が存在します。

調べてみると日本にはいろんな日があるんですね。

便乗商法は知らないことを知る良い機会

よく土用丑の日は、平賀源内が売れないうなぎ屋にアドバイスしたマーケティング戦略だと表現されているのを目にします。

今回のコンビニのいなり寿司キャンペーンも同様に、初午の日にかこつけた便乗商法かもしれませんが、少なくともこういった機会がないとなかなか古来からある文化を知ることが出来ません

便乗商法だろうがなんだろうが、企業や商社はこういった戦略はどんどんやってほしいなと個人的には思いました。

ではまた。